精神科と心療内科の診療内容についてのお問い合わせがありましたのでまとめてみました。
参考にご覧ください。
精神科と心療内科について
現代社会は生活環境の変化や仕事、人間関係のストレスなど、誰もが少なからず悩みを抱えているのではないでしょうか。「疲れがとれなくてしんどい」「イライラしたり、不安な気持ちになる」「頭痛や嘔吐、便秘などを繰り返しやすい」などの症状がきっかけで、心のバランスを崩してしまうこともあります。
生活に支障が出るほど気持ちがふさいだり、イライラや不安が2週間以上続いたら、「そのうち治るだろう」と我慢せずに、近くの精神科や心療内科の専門の医師に相談してください。
とは言っても、精神科や心療内科を受診することへの抵抗感から受診をためらう人も少なくないことも事実です。
また、精神科と心療内科のどちらに相談したらよいかわからないため、受診するタイミングが遅くなる方もいるようです。内科や外科といった診療科に比べて、精神科や心療内科は「聞いたことはあるけれど行きづらい、自分がどっちに行くべきなのか迷ってしまって行動できない。」などという方は多くいらっしゃいます。精神科と心療内科は何がどう違うのかイメージが湧きにくいからかもしれません。
最近は精神疾患や心身的症状をメンタルの病気と呼ぶなど、カジュアルでやわらかい雰囲気が求められ、心療内科を併記して標榜する精神科も多くなりました。受診される方には大きな違いはあまり無いのですが、どっちに行けばいいのか判断しやすくするために、精神科と心療内科のそれぞれの違いについてご紹介したいと思います。
精神科とは
「精神科」と「精神神経科」は同じ診療科で、心の症状や病気を専門として、心の病気そのものの治療を行います。落ち込みやイライラ、落ち着かないなどの気分症状、眠れなかったり、寝過ぎてしまうなどの睡眠症状、幻聴や幻覚などの精神症状のほか、こだわりや物忘れなどの認知症も対象で、うつ病や躁うつ病、統合失調症、パニック障害などの不安障害、脅迫性障害やPTSDなどの心の病気の診療を行なっています。
わかりやすく症状の例をいくつか挙げてみましょう。
精神科で相談される症状の例
- 周りの人が悪口を言っている気がする
- 疲れているのに夜眠れない
- 誰かに後をつけられていると感じる
- 近所の人が監視しているように感じる
- 些細なことにこだわって、何度も同じ確認を繰り返してしまう
- ドキドキして心細くなり不安が強い
- 子どもの頃から落ち着かなくて、今も困っている
- 体調や気分は変わらないのに、いつも集中できない
- 物忘れが増えてきた
- 食べたいという意欲が起きず、食べてもおいしいと感じられない
- 食べる量をコントロールできず、むちゃ食いしてしまう
- 悪いことをしていないのに悪いことをしてしまったと思う
- 人前で過度に緊張してしまう
- 落ち込んだときと爽快なときの気分の波がある
- 朝は気分が重く憂うつで訳もなく悲しくなるが、夕方になるとある程度楽になる
このような症状のほかにも、気になる症状があれば、精神科へ相談するのが望ましいです。
心療内科とは
一方、「心療内科」は様々なストレスが要因で、身体に症状が現れる症状を扱う診療科です。吐き気や頭痛、強い動悸が続く、下痢・腹痛、血圧が高くなる、ぜんそくなどの身体の不調の背景に、心理的なきっかけやストレスが思い当たる時は心療内科が専門となります。
身体の不調で専門科を受診したのに検査結果に異常が認められない場合に、心療内科へ相談することで、つらい症状の治療につながるケースもあります。
心療内科で相談される症状の例
- 人間関係のことで悩んでずっと気分が沈んでいる
- めまいや耳鳴り、立ちくらみがひどくて検査を受けても異常がなかった
- 朝、会社に行こうとすると下痢になってしまう
- なぜか涙が出てしまう
- 意欲が湧いてこない
- 胸が締め付けられる感じやザワザワする感じがする
- 息苦しくなったり、喉が詰まる感じがすることがある
- 胸焼けやお腹が空かないなど胃の調子が悪いときが多い
- 寝ても寝ても起きたときに疲労感を感じる
- 気候の変化に弱い
- 肩こりや腰痛がなかなか治らない
- 頻尿や残尿感があるが検査を受けても異常なしだった
- やけにまぶしかったり、音に敏感になるときがある
- 手足がだるく感じたり、しびれるときがある
- 夏でも手足が冷えてつらく感じる
これらは症状の一例です。検査をしても原因がわからない、病気が特定できない不定愁訴といえる症状が複数現れて悩まれている場合は「自律神経失調症」の可能性も否定できません。
自律神経失調症はストレスや生活リズムの乱れが原因で、自律神経である交感神経と副交感神経のバランスが崩れて心身ともに様々な症状が起こるのです。
自律神経は心臓、肺、胃腸、末梢神経などの器官に関わるため、身体のあちこちに不調が現れる方もいます。自立神経症状を我慢して、心の不調のサインが出てくるケースも多く、心の病気に進行していく場合もあります。
精神科と心療内科のどちらに相談するか迷ったら
また、上記の例を見ると、心の症状も身体の症状も、どちらもある、という方もおられます。そんな場合に精神科と心療内科どちらを受けるか迷われたら、心の症状の自覚がはっきりとあれば、精神科への相談をおすすめしますが、精神科・心療内科、どちらも標榜している病院は安心ですね。
当院では精神科・心療内科の
どちらの診察も承っております。
精神科・心療内科について
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身近な人がつらそうな場合の受診の促し方
心の病気には自分で気づきやすい症状がある場合と自分では気づきにくくご家族や周りの人が先に気づく変化があります。
「疲れた」という言葉を繰り返している、昼頃まで起きれなくなって生活リズムが崩れている、服装に無頓着になる、急に自信家になる、浪費に走ったりするなど、行動の変化に現れると、ご家族や周りの人から見ると怠けているように思われたり、性格が変化したように感じられるかもしれませんが、もしかしたらその背景に身体疾患や精神疾患が隠れている可能性があります。
そういった人が家族や友人の中にいる場合に「いつもと違って様子がおかしい。病気だと思うから精神科か心療内科を受診しよう」というと、自分はどこも悪くない、気のせいだと病院へ行きたがらないのが普通です。ですので、「おかしいから」と言わず、「病気じゃないことを確認しに行こう」と声を掛けることが大切です。
心や体の不調があれば、ご本人が一番不安を感じているはずです。ご家族や同僚など身近な方が付き添って早めに受診することで、早期治療につなげることができます。
苦しんで悩んでいる症状は我慢しない
ツライ、苦しい、しんどい、などの悩み事は、我慢してはいけません。専門医師の診察によって緩和できる可能性があります。心のトラブルや症状が明確になれば、治療や考え方のアプローチなどの対策を講じることで、本来の生活を取り戻せます。
監修/南港クリニック 精神科 中山温信
保有資格/精神保健指定医
所属学会/日本精神神経学会